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赤ちゃんむし歯、母乳は有罪?
 母子健康手帳から「断乳」という言葉が消えたのは昨年。育児の世界では、自然に赤ちゃんが飲まなくなるのを待つ「卒乳」という考え方が主流になりつつある。ところが最近、乳幼児に重度のむし歯が目立ち始め、小児歯科医らは、いつまでも母乳を飲ませているのが原因と指摘している。果たして「卒乳」はむし歯の原因なのか。

寝る前のおっぱい 歯の汚れが真犯人か
 大阪府岸和田市の「ナカデ小児歯科」の中出俊之院長は最近、1〜3歳の、歯が生えそろったばかりの子供に、重度のむし歯が目立つことに悩んでいる。来院時には、上の前歯を中心に歯が溶けたようになり、膿んでしまった状態まで悪化していることもある。
 保護者に話を聞くと、断乳していない子供が多く、「特に寝る前にミルクや母乳を飲ませると、むし歯の発生につながる」と実感。が、断乳を勧めても「なかなか歯医者の意見は聞き入れてもらえない」という。
 むし歯と母乳の関係を調べた研究がある。岡山大学大学院医歯学総合研究科行動小児歯科学教室の下野勉教授らのグループが、長期の母乳授乳が乳幼児の口腔内状態などに及ぼす影響を調べた。
 その結果、2歳の時点で、母乳を長期間飲んでいる乳幼児群は、断乳した群と比べて、むし歯の数が平均約1本多かった。生活習慣をみると、「間食の時間が決まっていない」のは断乳群が34.6%、母乳群が57.6%。「食べ遊びをする」も、断乳群が47.4%、母乳群が63.6%で、いずれも母乳群が高かった。
 しかし、研究グループの1人、ハロー歯科(岡山市)の滝川雅之院長は「むし歯はいろんな因子が重なり合ってなるもの。母乳を飲み続けたからむし歯になると、一概には言えない」と話す。
 そして「卒乳→むし歯」のからくりを、同歯科の小児歯科医、野本知佐さんはこう推理する。
 母乳を飲みながら寝る、という子供は、飲んだあと歯磨きすることはない。それで一度も歯磨きすることなく寝てしまう。1歳を過ぎると、母乳以外のものを食べるようになり、歯に汚れが付いたまま寝ることになる。最大の原因は、この汚れではないか。
 せめて飲ませる前に歯磨きを、と歯科医らは呼びかけている。


■2003年8月22日の産経新聞(大阪)より。