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 ある日突然に現れる、うずくような口の中の違和感。鏡の前で見ると口の内側に、白っぽくて赤くはれた丸みがポツン…。舌が触れたり、汁物を食べたりすると刺すように痛い。あちこちに分散するケースも。こんな「厄介者」の口内炎はなぜできるのか。治療法や「できにくくする」対策があるのだろうか。

口内炎対策
口の中の清潔さも大切

 奈良県橿原市の主婦(42)は、子どものころから口内炎に悩まされてきた。2〜5ミリ大のはれものが口の内側や歯ぐきにでき、唇にできることもあった。
 「2つできて、くっついたりする。食事中に口の中をかむと、そこがまた腫れる」と顔をしかめる。
 大阪大歯学部第一口腔外科の古郷(こごう)幹彦教授によると、口内炎にはいろいろな種類があるが、ほとんどが口の中の粘膜に痛みのある潰瘍(かいよう)ができるタイプという。円形で、やや白くて周囲が赤い。舌や唇の内側から、歯ぐき、のどの奥まで、どこにでもできる。
 原因としては、@口の中が不衛生A治療した歯のかぶせが合わないBウイルスや細菌感染─などがある。疲労や免疫力の低下など抵抗力が落ちてくることが、引き金になることもあるという。
 この主婦の場合、夕食は小学4年の長女(10)と午後8時前に済ませ、午前0時半ごろ会社から帰宅する夫(42)の食事を用意する。歯磨きは夕食後に済ませるが、自分も軽く食べて歯磨きをせずに寝てしまうことも。翌朝は7時前に起きるため、睡眠時間は5時間程度だ。
 「妊娠や生理、ダイエットなどでビタミンのバランスが崩れやすいためか、20〜30代の女性に比較的できやすい。十分な睡眠とバランスよくビタミンをとることが予防につながる」と古郷教授。子育ての悩みなど、ストレスが影響することもあるという。
 唾液の量も関係する。唾液には口内の洗浄作用があるが、睡眠中はその量が減って口の中が乾燥するため、細菌が増える。古郷教授は、睡眠前の丁寧な歯磨きをすすめる。
 鼻が悪い人は口呼吸になりやすく、口の中が乾燥する。また、薬の副作用で口が乾きやすくなっている場合も注意が必要だ。
 時には入れ歯も原因になる。橿原市の元大工、橋本朝治さん(60)は、数年前から右奥の歯ぐきに時々口内炎ができるようになった。5年前に作った入れ歯のかみ合わせが悪くなっていた。
 橋本さんは、昨秋から口内炎対策に力を入れている同市の歯科医院「リリーデンタルクリニック」で治療や歯石除去を受け、習った歯磨き法を食後と寝る前に徹底したところ、赤黒かった歯ぐきがピンク色になり、口内炎にならなくなった。打谷(うちたに)美香院長は「虫歯や歯周病の予防は口内炎対策にもなる」と話す。
 では、実際に口内炎になったらどうすればいいのか。
 放っておいても10〜14日で治ってしまうそうだが、早く治したい人には、刺激の少ないうがい薬で口内を清潔にする。副腎皮質ホルモン(ステロイド)を含んだ口内粘膜用の軟膏を1日1回〜数回塗れば、うずきが軽くなる。就寝前が効果的だ。
 飲み薬もあり、医師によってはビタミン剤や漢方薬を処方する場合もある。粘膜の修復作用がある胃薬も、効果が期待できるそうだ。治るまでは、辛いものやすっぱいものなど、食事での刺激物は避け、水分を多くとるようにすることが大事だ。
 症状がひどい場合は、歯科や皮膚科、耳鼻科などの医師に相談した方がよさそうだ。




診療科いろいろ 確認を
 口内炎にはいろいろなタイプがある。「再発性アフタ」は日本人全体の20%がかかるとされる。直径数ミリの円や楕円形タイプで、日本人に最も多く、症状は軽め。直径10〜30ミリ大のものは潰瘍が深く、激しくうずく。治るのに1ヶ月かかることも。
 口内炎は歯科、耳鼻科、皮膚科の境界領域にあるため、どの診療科にかかればいいか悩むことが多い。聖路加国際病院皮膚科(東京都中央区)の衛藤光部長は「発熱したり、広い範囲で発疹ができたりした場合は、皮膚科に相談を。乳幼児に多いヘルペス性歯肉口内炎は、高熱や口の痛みがあり、小児科に相談されてもいいのでは」と話す。
【口内炎に関するサイト】
口内炎バスター(http://kounaien.saratsuru.com/) 口内炎に悩む人に予防法や知識などを集めた。
口内炎検診室(http://stomato.info/) 基礎知識から予防治療策まで。

3ヶ条
1.睡眠たっぷりビタミンも
2.寝る前に丁寧な歯磨き
3.刺激物避け水分を多く


2006年3月14日の朝日新聞より