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シリーズ歯科 矯正治療3
手を抜くと崩れる歯並び


 東京都内のC子さん(33)は、出っ歯と乱ぐい歯で、経済的な余裕ができた26歳から矯正治療を始めた。2年弱でワイヤは外れたが、「リテーナー(保定装置)を数年つけないと後戻りする」と歯科医から言われた。
 ワイヤで動かしても、歯は元の状態に徐々に戻ろうとする。歯並びを維持するために、2年以上はマウスピースのように歯にはめる取り外し式のリテーナーをつける。治療後の歯型に合わせて作ったものだ。
 終日、できるだけ長く着けるのが望ましいが、C子さんは、しゃべりにくいので日中は外し、寝るときに着けた。が、気になって寝付きが悪く、無意識に外してしまうこともしばしば。次第に着けない日が多くなった。
 半年ほどたったころ、上の前歯が元のように前に出てきたのに気付いた。さらに半年もすると、治療終了時の形に合わせて作ったリテーナーは窮屈ではめられなくなってしまった。
 歯が戻っても、治療前ほどではない。そのままにしていたが、2年前、結婚を機に再治療を決心した。
 今度は上の歯だけで、通常のワイヤを着けたのは3か月ほど。取り外しができるリテーナーが一般的だが、歯の裏側にワイヤを装着するタイプもあり、今度は失敗を繰り返さないためこちらを選んだ。
 C子さんは「高いお金を払い、長時間かけてきれいな歯並びを手に入れたのに、戻っては意味がない。身をもってリテーナーの重要性を知りました」と話す。
 矯正治療後の歯並びが比較的安定しやすい子どもに比べ、大人は後戻りがある程度避けられないと言われる。「原因の多くは、リテーナーの装着期間が不十分だったこと」と、札幌市のスマイル矯正歯科院長、高木伸治さんは指摘する。
 高木さんは、子どもなら治療後2〜3年、大人はそれ以上のリテーナー装着を勧めている。「数日間隔を空けて着けた際、痛みや窮屈さを感じるうちは歯が動いているということなので、続けた方がいい」とアドバイスする。
 その間も、歯のねじれや移動に対し、歯茎に浅い切れ目を入れたり、後戻りが軽いうちに歯の裏側にワイヤを張り付けたりする簡単な治療や、歯と歯がぶつかりすぎないように歯を削って微調整することも可能だ。
 矯正後の歯並びの崩れをどこまで気にするかは本人次第だが、せっかく受けた治療を自ら損ねてはもったいない。治療後しばらくは、リテーナーを着け、歯科で定期点検を受けたい。



2006年5月15日の読売新聞より