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シリーズ歯科 矯正治療4
痛み・虫歯に要注意


 治療中は、矯正装置に食べカスが挟まって虫歯の原因となる菌が増殖しやすいため、歯みがきには手間がかかる。また、装置で力を加える事による痛みが出る場合もある。
 神奈川県の小学6年生D子さん(12)は9歳から受け口の矯正を始めた。ワイヤを歯に装着する前に、上あごを拡大する装置をつけた1年足らずの間に虫歯が2本できてしまった。
 「特に子どもの場合、どうしても磨き残しが出たり、歯磨きが面倒になったりして虫歯になる場合が多い。自己管理が難しい小さなうちからの矯正は注意が必要だ」と大坪矯正歯科医院(東京・表参道)理事長の大坪淳造さんは言う。
 D子さんも、歯科では歯磨きの指導を毎回受けていた。それでも子どもの場合、寝る前などに家族が磨き方をチェックしながら、大人が仕上げ磨きをするよう大坪さんは勧める。



 加えて、1日1回は歯科医院などで販売している濃度の高いフッ素を使うのも役に立つ。フッ素には歯の表面を強くし、虫歯になりにくくする作用がある。
 最近は、子どもだけではなく、大人になって矯正を受ける人も増えてきた。大人は歯が安定しているため、歯を動かす痛みは子どもよりも強いと言われる。
 同歯科医院の歯科技工士、沢田深菜[みな]さん(36)は2003年10月に、乱ぐい歯の矯正を始めた。外見の問題だけではなく、上の歯の1本が歯列からズレていたため、口の中をかむことがあり、口内炎になりやすかった。
 治療には痛みが伴った。最初に、歯列全体を広げる装置を入れるため、歯のすき間を作る約1ミリ幅の小さな輪ゴムを歯にかけた直後から数日は、「歯が浮き、ジーンジーンと脈打つような痛み」を感じた。むし歯の痛みとはまた違う。
 数カ月後、歯を全体に動かすための形状記憶合金のワイヤを着けたときの痛みはもっと強かった。それでもつらいのは毎月の装置調整後の3日程度。徐々に慣れた。食事も、野菜は装置に絡まり、肉は歯に挟まる。イカやタコの刺身も、装置を着けた2年弱の間は食べづらかった。
 昨年6月に治療を終え、満足いく歯並びになり、口の中をかむこともなくなった。「我慢したかいはありました」と沢田さん。痛みや食べづらさの感覚は個人差が大きい。
 矯正治療は数年に及ぶ。一時的には痛みもあり、虫歯の危険も増す。だが仕事や学業に影響するほどの支障は少ない。受診時に生活上の注意について、よく確認しておきたい。


矯正中の注意
●初めて矯正装置をつけると、歯に力が加わり、数日程度痛みが出ることがある。軟らかいものを食べ、痛みが強ければ鎮痛薬も
●食べかすが装置に挟まり、虫歯や歯茎の炎症が起こりやすい環境になる。歯磨きの指導を受け、「食べたら磨く」を基本にする
●食べ物は、キャラメルや軟らかいアメ以外に制限はない。ただし硬いせんべいなどは装置を壊す恐れもある
●バランスのとれた栄養、充分な睡眠、適度な健康管理が重要
(大坪淳造さんによる)


2006年5月16日の読売新聞より