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シリーズ歯科 矯正治療5
あごを切って顔に自信


 「優しい顔立ちになったね」と友人に言われ、神奈川県のE子さん(21)は気恥ずかしさと同時にうれしさをかみしめた。今年3月、あごを切る手術を受けた。「自分じゃないみたいに顔つきが変わった」と話す。
 E子さんは受け口で、左右にかみ合わせがずれていた。高校生の時に矯正歯科医院を受診すると、「下あごの成長が止まるのを待って、手術を考えてみてはどうか。顔が変わりますよ」と言われ、驚いた。

 

「どうして、顔を変える必要があるの?」
 E子さんの顔は、普通にかわいらしいのだが、受け口に加え、顔の右側がやや下がっていた。普通の矯正治療で受け口は改善しても、全体のバランスを整えるのは難しい。そのことを考えての提案だった。
 紹介された横浜市立大市民総合医療センター(横浜市)の口腔外科で説明を聞いた。ワイヤを使った通常の矯正を手術前に始め、手術では、口の中からメスを入れ、あごの骨の根元を切って短くし、後方に下げて金属板で固定する。1年後に手術で金属板を外し、ワイヤの治療も終える。
 手術は全身麻酔で、通常でも3〜5時間はかかり、2週間の入院が必要だ。神経が集まる部位の近くにメスを入れるだけに、しびれなどの後遺症が出ないとも限らない。
 自身も受け口の母親が「顔に自信を持てるように」と手術に積極的で、E子さんは治療期間が短いのがいいと思った。
 「顎顔面変形症」という病気の扱いで、健康保険が使える。
 手術前の半年間。ワイヤで矯正し、今年3月末に手術が行われた。下あごだけではなく、バランスを配慮して、上あごも切って骨の角度を変え、形を整える大がかりなものとなり、約6時間かかった。
 手術から1か月余り。あごを固定しているため、口は1センチほどしか開かないが、半年ぐらいで戻ると言われている。
 「生まれ変わって新しい自分になれた気がする」とE子さん。同大口腔外科準教授の大村進さんは「骨格の変形が著しい場合、手術を検討する」と話している。
 顔を整える形成外科や美容整形の領域と重なる大がかりな治療で、機能改善を優先して行われる。対象となる人は限られているが、状態と希望によっては選択肢になる。


あごの形成手術
あごの形成手術
けがや顔面の変形が伴う病気の治療、美容目的などで行う。口腔外科や形成外科と、矯正歯科が当たる。
けがや病気、かみ合わせに問題がある場合は、健康保険が適用されるが、美容目的なら100万円以上の自費診療になる。


2006年5月17日の読売新聞より