Q1八重歯はチャームポイントなのに、なんで治さなきゃいけないの?
八重歯ということは、つまり歯並びが悪いということです。つまり、むし歯になりやすいということです。他にも、発音が正しくできなかったり、咀嚼障害を引き起こしたりと、不都合なことがあります。日本では確かに八重歯はチャーミングとされていますが、長い目で見ると治したほうがいいかもしれません。
Q2歯並びを治すメリットは何ですか?
歯並びが悪くても、「見た目が悪いだけでそんなに悪影響はない。」と思っていませんか?
確かに直接的な影響を感じられる方は少ないと思いますが、間接的には全身的に様々な悪影響を及ぼしているのです。
口元の見た目にコンプレックスをいだくことが慢性的なストレスになったり、見た目を気にするあまり表情が乏しくなり人間関係の上で誤解を招いてしまったり、歯並びの悪さが心の健康に与える影響も少なくありません。
また、かみ合わせが悪いことが原因でアゴの運動に異常が生じる場合があります。するとアゴの運動に関係する筋肉や神経のバランスがくずれ、顎関節症(がくかんせつしょう)や偏頭痛、肩こりなど全身的な不調和に及ぶ可能性があります。
お口の中では、歯並びを治すことで歯みがきがしやすくなり、むし歯や歯周病の予防がしやすくなり、さらに発音や会話にも影響してきます。
歯並びの整った美しい笑顔は、心身ともに健康であることの象徴といえるのではないでしょうか。
Q3矯正治療とはどういうものですか?
矯正治療は、出っ歯(上顎前突)や受け口(下顎前突)、乱杭歯(叢生)のように悪い歯並びやかみ合わせを、矯正装置を使って正しくする治療をいいます。歯並びやかみ合わせを良くして、だきるだけ自分の歯を長持ちさせ、その人を機能的にも心理的にも健康にすることが最大の目的です。きれいな歯並びは、むし歯や歯周病の予防の第一歩。また、子供の悪い歯並びは、アゴの発育や顔かたちに関係するばかりでなく、からだ全体の成長や発育にも影響します。
矯正治療は、たんなる美容目的だけではなく、心理面も含めた、からだの健康増進にも大きくかかわるものなのです。
Q4どうして矯正治療が必要なのですか?
健康面と美容や精神面と、どちらからも必要性があります。まず、悪い歯並びやかみ合わせは、むし歯や歯周病の原因にもなりやすく、また、お子さんのアゴや顔かたちに影響を与え、からだ全体の健康な成長・発育にも影響を及ぼします。また、悪い歯並びを学校でからかわれたり、お子さんが成長するにつれて、本人もそのことを気にするようになる事により、心理的に悪影響を及ぼす事があります。これからますます国際化が進む社会では、美しいスマイルとともにきちんと自己主張できることが、重要な資質となるでしょう。歯並びや口元の印象のよしあしが、将来を大きく左右する可能性があります。
Q5矯正治療の対象になる範囲を教えてください。
出っ歯(上顎前突)、受け口(下顎前突)、乱杭歯(叢生)、八重歯(上顎犬歯の低位唇側転位)やスキ間のある歯並びなど、かみ合わせの悪いものは、すべて矯正治療の対象になります。また入れ歯やブリッジを入れる時、歯が曲がってはえていたり傾いていると、安定した状態で装着できないので、これらの歯を事前に正常な位置に戻すことも矯正治療の対象です。
Q6悪い歯並びをそのままにしておくと、どういう影響がありますか?
歯をよく磨けない部分ができて、むし歯や歯肉炎、歯周病の原因にもなり、歯の寿命を短くします。
歯は食べ物をかみくだき、すりつぶして消化しやすくするので、歯並びが悪いと消化器官だけでなく、全身的な発育にも大きな影響を与えます。
昔から「健全な精神は健康なからだに宿る」といわれますが、歯並びが悪いとそのひとの性格や行動にも影響を与えます。治療によって、内気で無口だったひとが、快活に変身することが多いのです。
Q7なぜ歯並びが悪くなるのでしょうか?
顔かたちが親に似るように、歯やアゴも遺伝によってそれぞれ両親の特徴を受けつぎ、大なり小なり歯並びに影響を及ぼします。また、発育段階での悪いクセ(たとえば指しゃぶりや上下の前歯の間に舌を出すなど)や鼻づまりで口をあけて呼吸する場合には、開咬や出っ歯(上顎前突)になる例が多く見られます。乳歯がむし歯などで早い時期に抜けた場合、奥の歯が前の方に移動して永久歯のはえる場所が足りなくなり、八重歯(犬歯の低位唇側転位)や乱ぐい歯(叢生)になったりします。
Q8矯正治療にはどんな装置がありますか?
矯正治療には、取りはずしのできる可撤式装置や口の中に入ったままの固定式装置などいろいろ使用します。
取りはずしのできる装置には、口の中で使用するものと口の外で使うものとがあります。固定式の装置は常に歯に力を加えるので確実な効果が得られ、広い範囲の治療に適応できるので多く用いられています。歯並びの状態により矯正歯科医が現状を診断し、装置を決定しますので、説明をよく聞いてください。
Q9矯正治療は永久歯だけのものでしょうか。
乳歯にも矯正が必要な場合がありますか?
矯正治療は、永久歯がはえ揃ってからはじめるとは限りません。
悪いかみ合わせは、乳歯の時期でも、乳歯から永久歯に変わる時期にも起こります。たとえば、上と下のアゴが大きくズレて下アゴが前に出ている受け口(下顎前突)では、下アゴの発育を抑えるために、乳歯の時期に早く治療をはじめる必要があります。前歯が永久歯に変ったばかりの時期でも、受け口(下顎前突)や出っ歯(上顎前突)は早い時期に治療を開始することが多いのです。
Q10矯正治療には年齢制限がありますか?
また治療は、何歳くらいが時期的にいいでしょうか?
これまでの矯正治療は、子供だけのためのものと思われがちでしたが、大人になってからでも治療ができます。矯正治療にはほとんど年齢制限はないと言えるでしょう。治療の時期についてですが、悪い歯並びにはいろいろなタイプのものがあり、その原因や状態、程度は個人によって全く違っています。また、治療の時期も一定ではありません。たとえば、上下のアゴの骨に大きなズレがあるような受け口(下顎前突)や出っ歯(上顎前突)は、アゴの骨が成長している時になるべく早く、乳歯の時期から治療を開始することもあります。一方、単純な乱ぐい歯などの場合は永久歯がはえ揃ってから治療した方が、短期間に効率よく治療できる場合があります。
このように、症例により治療の開始時期が違うので、一概に時期的には何歳頃が最適かということは言えません。気になったら、なるべく早く矯正歯科医に相談しましょう。
Q11矯正治療の期間は、だいたいどのくらいですか?
歯並びの状態や年齢、難易度などの条件が一人一人違いますから一概にはいえません。治療を始める前に歯の型を採り、顔の骨格や歯のはえ方など外から見えない部分を調べるために、X線写真をとって検査します。この検査結果をもとにして、治療の方法や期間が算定されます。
治療期間は、簡単な装置で直せる状態であれば6ヶ月から1年ぐらい。乱ぐい歯(叢生)など歯並び全体をなおすものは、1年半から3年、成人ではもう少し長くかかります。しかし、受け口(下顎前突)など成長発育に関連する治療は時として7〜8年もかかることもあり、気長な治療が要求されます。歯並びの状態、治療法などについては、治療をはじめる前に、矯正歯科医から詳しい説明があります。納得がいくまでおたずねください。
Q12矯正治療中、痛かったり不快感はありませんか?
固いアゴの骨にはえている歯を動かすのだから、さぞかし痛いだろうと思いがちですが、実際は弱い力で少しずつ動かしていくので、痛みや不快感は想像するほどではありません。
はじめて矯正の装置をつけた時は、3〜4日程度は「歯が浮いた」「固い物が食べれなかった」という人がいますが、何もつけていない自分の歯にくらべて少し感じが違うのは、しかたのないこと。1週間くらいで馴れるものです。その後は、日常生活にほとんど影響がありません。
Q13矯正治療のために、歯を抜くことがありますか?
矯正治療では、なるべく大事な歯を抜かずに、美しい健康な歯並びにすることを考えますが、将来の歯並びやかみ合わせのために必要だと思われる場合は歯を抜くことがあります。
たとえば、出っ歯(上顎前突)、ねじれた歯や乱ぐい歯(叢生)は、アゴの大きさに対して歯が大きかったり、多すぎたりすることが原因なので、かみ合わせを良くするためには、歯を抜いて治療することが多くなります。一般的には、第一小臼歯という前から4番目の歯を抜くことが多いのですが、抜いた歯のスキ間は歯を動かすことによって閉じてしまうので、治療後にスキ間が残るという心配はありません。
Q14矯正治療中、どのくらいの間隔で通院すればいいのでしょうか?
通院回数は治療をはじめて2〜3回は、1〜2週間に1度の割合ですが、装置が装着されれば月1回程度がふつうです。
Q15矯正治療中、食事などは普通にできますか?
また、食べてはいけないものがありますか?
矯正の装置が入った時には歯が浮いたような状態になり、歯をかみ合わせると痛みを感じることがあります。3〜4日たって痛みがなくなると、今までどおりに食事はできますし、1週間もすれば不思議なほど口の中は馴れてしまうものです。矯正中は、矯正装置をこわす恐れのある固い食べ物、粘着性のあるガムやキャラメルなどは避けてください。
Q16矯正治療中に、むし歯や歯周病になりやすいことはありませんか?
また、普通に歯をみがけますか?
矯正治療中は装置のため歯が磨きにくくなり、歯の表面やスキ間に食べカスがつきやすくなります。とくに、歯の清掃や歯肉のマッサージは大切です。むし歯や歯周病にならないように、毎食後の歯磨きを忘れないようにしましょう。
矯正治療中の歯磨きの方法は、本人が確実にできるまで矯正歯科医院で指導します。
Q17子供の歯並びをきれいにしたいけれど、治療費が心配。
いったいどれくらいするものなの?
☆目安は、数万円〜数十万程度。
不正咬合の矯正歯科治療に関しては、健康保険適用外、いわゆる「自費診療」で、治療費やその支払方法などは、病院や診療所によって違います。また、地域によっても、治療費に若干の差があるようです。矯正治療費の総額は、おおよそ数万〜数十万円程度。ただ、治療の難易度や治療期間、治療方法、使用する装置などによっては100万円をこえる場合もあります。納得いくまで歯科医師から説明を受けることをおすすめします。
 なお、治療費の支払い方法も歯科医院によって異なりますが、現在では多くの医院がカード分割支払いを採用しているので、一度、問い合わせてみるといいでしょう。