Q1歯医者さんに行こうと思ってる矢先に妊娠しちゃった。どうしよう?
たとえば歯周病のまま妊娠して子どもを産む…実はこれって、リスクの高いことなんです。歯周病が重ければ重いほど、悪影響が出るともいわれています。できれば、歯の治療を受け、お母さんが健全な状態で妊娠したほうが、健全な赤ちゃんが産まれる確率も高くなります。
Q2妊娠中のむし歯の治療は、大丈夫?
身体の状態が比較的安定している妊娠中期(4〜7ヶ月)が歯科の治療を受けるのに最も適した時期と言えるでしょう。
妊娠初期は、胎児のさまざまな器官の基本的な部分を形成していく時期であり、レントゲンや薬の使用に多少気を使います。また、悪阻(つわり)も生じてくるので、あまり治療には向いていない時期となります。
妊娠後期では、始めは比較的安全ですが中盤以降は胎児も大きくなり、長時間の治療に向かず、ちょっとした刺激が早産につながってしまう事態も考えられます。
基本的には、治療を行って悪い時期はないとされていますが、妊娠初期と後期の中盤以降は避けた方がいいでしょう。また、妊娠中であることあるいはその可能性があることを、必ず歯科医に告げておきましょう。
できれば妊娠する前に歯の治療を済ませておいたほうがいいと思います。
Q3妊娠中に歯が弱くなるって、本当ですか?
昔から、「一子生むごとに一歯抜ける」とか、「歯のカルシウム分が胎児にとられるため、母親の歯が弱くなる」などと言われていますが、これは全くの俗説です。
歯は一度歯ぐきからはえた後、身体のカルシウム代謝と無関係の器官になりますので、歯からカルシウムがよその器官にとられてしまうことはありません。
確かに妊娠中はむし歯ができやすかったり、歯肉炎を起こしやすかったりします。これは、妊娠中の生活リズムの変化や悪阻(つわり)などで食習慣が変化し、その結果ブラッシングがおろそかになりお口の中の衛生状態が悪化することや、身体のホルモンのバランスがくずれ、妊婦さん特有の“妊娠性歯肉炎”を起こしやすくなることが原因です。
妊娠中は栄養バランスのとれた規則正しい食習慣を心がけ、歯みがきを丁寧に行ない、お口の中を清潔に保つことが大切です。
Q4妊娠中のレントゲン撮影は、胎児に影響ありませんか?
レントゲンが胎児に及ぼす影響として、催奇形性、発育遅延、発ガン、遺伝的影響などが考えられます。
しかし、歯科で使用するレントゲンはこれらの障害を引き起こす量よりもはるかに少ないため、問題はないとされています。むしろ、“レントゲンを使用したことで何か問題があるのでは…”という不安を招く精神的な影響のほうが大きいといえます。
レントゲンで胎児に障害が出る量は、妊婦の腹部に直接照射し、胎児が1回に10ラド以上の被爆を受けたときであるとされています。歯科で使用する場合、1回の撮影で卵巣まで放射線が到達する量は最大でも0.00000202ラドです。
通常では、放射線を防ぐために鉛入りの防護エプロンをかけて撮影しますから、ほとんど影響はありません。
また、外見からは判断しにくい歯や骨の中の病気という歯科の特殊性から、確実な診断や術後の経過を診るためにレントゲン撮影は必ず必要です。いかに問題が無いとはいえ、影響が全くゼロということはありませんから、極力回数を減らすようにかかりつけ歯科医も心掛けて治療にあたっていますから、安心して治療に専念してください。
Q5妊娠中の口腔ケアは?
妊娠中はむし歯や歯周病になりやすいので、予防に専念しましょう。
妊娠中に生じる体調の変化としてホルモンの関係で、唾液が酸性になり、慢性化したむし歯が痛み出すことがあります。歯みがきが大切とわかっていても、つわりのために歯みがきがおろそかになりがちです。
妊娠すると歯が悪くなるとか、歯ぐきが腫れるなどと言いますが、歯みがきが充分に出来ない事も理由の一つです。歯みがき剤をつけないで、ゆっくりと磨きましょう。また、妊婦さん特有の妊娠性歯肉炎のために歯ぐきが腫れて出血する場合でも、丁寧に磨き続ければやがておさまります。
また、歯ぐきの一部が増殖して、妊娠性エプーリスといわれる、こぶのようなものが出来ることがあります。これは、ホルモンのバランスが崩れることにより生じると考えられ、何回も出てくることもありますが良性のものですから心配はいりませんが、気になるようでしたらかかりつけの歯科医院を受診しましょう。