日本の食生活はこの半世紀で大きく変わったのジャ。生活が豊かになったおかげで、我々の身の回りにはさまざまな食品があふれているのジャ。生活習慣(ライフスタイル)が変われば食習慣も変わるのは世の常で、軟食グルメ嗜好の現代人は、かむことの大切さを忘れてしまったようジャ。

アメリカを救った日本食
今から25年ほど前のアメリカでは、ガン・心臓病・糖尿病などの成人病が激増していたのじゃヨ。時のアメリカ政府は、穀類や野菜、魚などを多くとる日本型の食事に注目し、「日本の食事体系に近づくように」とのスローガンを掲げ、食生活の改善に取り組んだのジャ。その結果、心筋梗塞による死亡率を15%減少させることに成功したのじゃヨ。
ところが、アメリカがお手本にした日本の食生活は今やすっかり変わってしまったのジャ。
もう一度50年代の日本型食事に戻さなければ、近い将来、日本もアメリカと同じ危機を迎えてしまうかもしれないのじゃゾ。

かまない、かめない
日本人の食生活は、昭和30年代を境に大きく変わったのジャ。美食・飽食と言われるくらい豊かになった食生活…。その反面で、急激な軟食化が進み、その結果生まれてきたのが「かまない・かめない」子供たちなのジャ。つまり、かまないと、かめなくなるのじゃヨ。
現代の子供たちの多くは、スリムなアゴ・細身の顔が増えているのジャ。一見、キュートでカッコいい、と思われがちなのジャが、とんでもない!これは、アゴの未発達による顔立ちで、かまなくなったためにアゴが正常に発育できない結果なのじゃゾ。
特に最近の子供たちのアゴの発育不全は急激で、かって数千年を経て起った変化が、現代では1〜2世代で起きているのじゃヨ。このままでは、ますますアゴが先細り、かむことができない新・新人類になりそうなのジャ。

ガラスのアゴ
ボクシング界には、「グラス・ジョー」という言葉があるのじゃヨ。“ガラスのようにもろいアゴ”という意味で、ボクサーとしては致命的で、選手生命にも影響を及ぼすのジャ。
スリムなアゴの現代っ子もある意味「グラス・ジョー」で、これは単にアゴや歯だけの問題ではなく、全身の健康を阻害する大きな問題なのじゃゾ。
我々の身体はどんなに栄養を与えても、その運動機能が不十分だと正常には発達しないのじゃヨ。たとえば、あなたの利き腕はそうでない腕より長く、筋肉や神経もよく発達しているはずなのジャ。これはアゴでも同様で、
口やアゴ、そして顔面の筋肉や頭蓋骨全体などが正常な大きさに発育・成長するためには、よくかむという運動が欠かせないのジャ。かむということは、歯を支える歯周組織だけでなく、顔全体に効果的な運動刺激として伝わり、それらの細胞の活発な代謝を促進するのじゃヨ。
つまり、
しっかりかまないと充分な栄養補給ができないばかりか、物理的刺激による身体の細胞の活性化も弱くなり、また、健康に欠かせない唾液の分泌も減少するなど、さまざまな弊害がおこってくるのジャ。
動物はかめなくなると、生存を放棄しなくてはならないのじゃヨ。我々人間も動物である以上、かめなくなると…。
いつまでも健康な生活を送るためにも、子供のうちからよくかむ習慣づけが大切なのじゃゾ。