「入れ歯」…っていうと、みんなはすぐに“クシャミをした老人の口から飛び出てくる歯”っていうイメージじゃないカナ?当たらずも遠からずなのジャが、本来は、“無くなってしまった歯の部分を人工的な歯で補うもの”の総称を「入れ歯」と言い、専門的には、補綴物(ほてつぶつ)と言うのじゃヨ。
従来の補綴物を一般的に大きく分けると、取り外しのできる“可撤式義歯”(いわゆる入れ歯)と、取り外しのできない“固定式義歯”(いわゆるブリッジ)があるのジャ。また最近では、アゴの骨の中に人工の歯根を埋めて、それを土台として作られる“インプラント義歯”というものもあるのジャ。
何らかの理由でやむなく歯を失ってしまったらそのまま放置せず、かかりつけの歯科医と共に自分に最適の「入れ歯」を考え、早めの処置がオススメなのジャ。

歯がなくてもあきらめないで!
残念ながら歯がなくなってしまった…でもあきらめるのはまだ早いのじゃゾ。なくなった部分に「入れ歯」を入れることにより、ある程度の機能回復が可能なのジャ。
国民の41.7%、約5,000万人(平成11年保健福祉動向調査の概況)が入れ歯を作ったことがあるという日本人…今後さらに高齢化が進むことを考えると、その人口はますます増加し、「入れ歯」の役割もさらに大きくなるものと思われるのじゃヨ。
歯と人生を大切にするための道具として、「入れ歯」は更なる進化を遂げるのジャ!

歯がなくなったら…
むし歯や歯周病の終着駅…それは歯の喪失!また、不幸にも何らかの事故で歯を失った場合でも、そのまま放置しておくのは決して好ましくないのじゃヨ。
「1本ぐらい歯がなくても物はかめるし、何の不自由もないからそのままでいい。」という気持ち、分からないわけじゃないけれど、歯はお互いに支えあっているのジャ。1本でも抜けてしまうと、その抜けた隙間に向かって残っている歯が移動を始めるのじゃヨ。
抜けた部分の両隣の歯が倒れ込んでくる、かみ合っていた歯が伸びてくる、かみ合わせが狂ってくる、歯をギシギシこすり合わせると引っかかって上手く動かない…等など問題続出ジャ。
しかも、歯がなくなってすぐにはこれらを自覚することは滅多になく、かかりつけの歯科医に指摘されてもあまりピンとこないため放置し、歯が抜けてから何年も後になって初めて事の重大さに気がつく人が多いのじゃヨ。
一番大事なことは
歯を失わないよう日々の健康管理を怠らないことなのジャが、残念ながら歯を失ったらそのまま放置せず、勇気をもって自分に最適の“補綴処置(「入れ歯」を入れること)”を受けることが8020への近道なのじゃゾ!

進化する入れ歯
人と「入れ歯」には長い歴史があるのジャが、長い間「入れ歯」はカツラと同じように容貌を整える装飾具に過ぎなかったのじゃヨ。特に総入れ歯は実用的ではなく、会話や食事も自由にできないものだったのジャ。その後、アゴの運動の研究や材料の改良が進み、「入れ歯」は装飾具から、失われた口腔機能を回復させる“人工臓器”へと進化していったのジャ。
現代の「入れ歯」には、
人工歯を接着・固定するブリッジと、取り外しが可能な床義歯(部分入れ歯・総入れ歯)があるのジャ。そして現在、新しい「入れ歯」として注目されているのがインプラントなのじゃヨ。これは、アゴの骨に穴を開けて、そこに人工歯根を埋め込むというものなのジャ。まだ、完成された治療法ではないのジャが、この方法なら隣の歯がなくってもブリッジのような固定した「入れ歯」を入れることも可能なのじゃヨ。
さらに、未来の新技術として期待されるのが、遺伝子による再生技術により自分の細胞から歯そのものを再生する
クローン歯なのジャ!まだまだ、研究段階の技術なのジャが、近い将来必ず実用化され、取り外し式の入れ歯はもとより、ブリッジ、インプラントも不要になる時代が来るのじゃヨ。
その他にも、厳密な意味での「入れ歯」ではないのジャが、心臓移植などの臓器移植と同じように、自分や他人の歯を移植することも現在では可能になってきたのジャ。
「入れ歯」はどんどん進化しているのじゃゾ!

“ブリッジ”って?
失った歯が1〜2本で、その両側にしっかりした自分の歯が残っている時は、これらを土台(支台歯)にして橋渡しをし、人工の歯を入れる方法なのじゃヨ。
接着剤で歯にしっかり固定するため、自分の歯と同じようにかむことができ、違和感も少ない。
人工の歯の材料を選択することで、自然の歯と同じような外観を回復できる。
保険でできるものもある。
土台となるしっかりとした歯がないと作製できない。
失った歯の数が多いと作製できない。
ブリッジを支え、固定するために、たとえ健康な場合でも土台の歯を削る必要がある。
土台にした歯に負担がかかり、将来的にその歯を失うことの原因になる場合がある。
人工の歯(歯を失ったところ)の下部の清掃には歯間ブラシ等の歯ブラシ以外の特殊清掃器具を使用する必要があります。

いわゆる“入れ歯”って?
多数の歯を失ったり、残っている歯が土台として不適切でブリッジができない時は、局部床義歯(いわゆる“部分入れ歯”)を、全く自分の歯がなくなってしまった時は、全部床義歯(いわゆる“総入れ歯”)を入れるようになるのじゃヨ。
局部床義歯は、人工歯を取り付けたアゴ(床)付き入れ歯を、クラスプと呼ばれるバネによって残っている歯に装着するもので、自分で取り外しするものなのジャ。全部床義歯は、バネがなく、粘膜に吸い付くことで外れないようになっているのジャ。この場合、入れ歯を乗せる土手(歯ぐき)の有る無しが入れ歯の安定に大きく関与しているのじゃヨ。
ブリッジでは適応できない大きな欠損(歯のないところ)に有効。
ブリッジほど健康な歯を犠牲にしなくてもよい。
比較的短期間のうちにある程度の機能回復(天然歯の約1/3)ができる。
特殊なものを除いて、全て保険でできる。
装着による違和感を生じやすい。
自然な外観を損ねることが避けられない。
かみ心地が悪い場合もあり、硬い食べものやかみ切らなくてはならない食べ物では苦労することもある。
入れ歯を支える骨や歯の喪失を招きやすく、2〜3年ごとの作りかえや調整が必要である。
食事の度にはずして清掃したり、毎日の手入れが大変。
発音がうまくできない場合もある。

“インプラント”って?
アゴの骨の中に人工の歯根(インプラントフィクスチャー)を埋め込み、その上に人工の歯を取り付ける方法なのじゃヨ。人工歯はインプラントという自分の根っこで支えられているので、他の歯に負担を求める従来の方法とは根本的に違うのジャ。
天然歯のようにアゴの骨に固定するので、見た目も自然で違和感なくかむことができる。
天然歯に近い機能(かむ力は天然歯の約80%)が期待できる。
他の歯を削る必要がない。
失った歯の数が多くても、咀嚼能力が回復できる。
歯を失った部分のアゴの骨がなくなるのを防ぐことができる。
インプラントをアゴの骨に埋め込む手術が必要である。
全身疾患がある人は適応とならないことがある。
治療期間が長くかかる(最短でも6週間)。
自分自身の十分な口腔衛生管理と歯科医院での定期的な健診が必要である。
保険がきかないので、治療費が高額になる。
骨の状態により適応とならないことがある。

“クローン歯”って?
失った歯の機能回復のための修復法としては、現在のところブリッジ・床義歯・インプラントなどの「入れ歯」が唯一の選択肢なのじゃヨ。ところがこれらはしょせん人工の代用物に過ぎず、それぞれに一長一短があり、天然歯に比べるとどれも見劣りするのジャ。
そこで、さらに未来の新技術として期待されてるのが、
遺伝子による再生技術によって、自分の細胞から歯そのものを再生する“クローン歯”なのジャ。これは、歯を失った部分のアゴの骨にES細胞(受精卵が分裂し、身体のもとになる細胞の塊ができたころ、その一部を採取して培養したもの)を移植し、歯を構成する歯髄、象牙質、エナメル質、セメント質などすべてを再生する方法なのジャ。まだまだ研究段階の技術ジャが、近い将来に究極の「入れ歯」が誕生するかもしれないのじゃゾ。

“歯の移植”って?
広い意味では、“歯の移植”も「入れ歯」の中に入るかもしれないのジャ。心臓や肝臓、皮膚などが移植されるように、歯だって移植できるのジャ!
ブリッジ・床義歯・インプラントなどがあくまでも人工物であるのに対して、歯牙移植(しがいしょく)は生きた歯を移植するもので、その後の管理がしやすくなるのじゃヨ。これには、自分自身の歯を他の部位へ移植する
自家歯牙移植(じかしがいしょく)と他人の歯を移植する他家歯牙移植(たかしがいしょく)があるのジャが、免疫反応のことを考えると歯牙移植の場合は、ほとんどが自家歯牙移植なのじゃヨ。
最もポピュラーなのが、
親知らずを大臼歯部に引っ越しさせる方法ジャが、歯の移植にとって最も大切なのは、歯の根を取り巻いている歯根膜(しこんまく)なのじゃヨ。移植するときにできるだけ傷つけないように歯と一緒に植え込む必要があるのジャ。
やっぱり歯も生きている臓器なのじゃゾ!