豊かで楽しい老後を過ごすためには、いつまでも自分の歯で、自分の口から食事をとることが最も大切なことなのジャ。我々かかりつけ歯科医は、あなたのお口の健康の保持・増進をお手伝いし、8020の実現を目指しているのジャ。
8020達成者は、
健康状態が良く、日常生活もほとんど不自由なく送れ、活発で社交的、痴呆も明らかに少ないということが分かってきたのじゃヨ。そのためには、子供のころから甘いものや間食を控え、かみごたえのあるものを好み、自発的な定期健診により、むし歯や歯周病の早期発見・早期治療に努めていたということも分かっているのジャ。
若いときから自分のお口の健康に関心をもって、毎日の手入れとあわせて、かかりつけの歯科医といっしょに8020を目指すのじゃゾ!
まずは、個々人の自覚が大事、予防は本人のやる気から始まるのジャ!そうして努力をすれば誰でも8020達成は可能じゃゾ!

20本以上「自分の歯」が理想的!
歯は全部で何本あるか知っているカナ?乳歯は全部生え揃うと上下で20本、永久歯は上下で親知らずを含めて32本あるのだワン。鏡の前でよーく自分の口の中をのぞいてみて、何本あるかかぞえてみるのジャ。
自分の歯が20本以上あれば、なんでもよくかめ、心身ともに豊かな生活を送れると言われているのじゃゾ!

「8020」の現状は…
「80歳になっても自分の歯を20本以上残そう」という8020(ハチマルニイマル)運動。むろん80歳にこだわっているわけではなく、80(ハチマル)とは高齢の象徴なのじゃヨ。つまり、「高齢になっても…」の意味が込められているのジャが、はたして最近の日本人の口の中の状態はどうなっているのじゃろうか…。
厚生労働省は国民の歯科疾患の現状を明らかにし、今後の歯科保健対策推進のために6年毎に「歯科疾患実態調査」を行っているのじゃヨ。平成11年度の最新版から「8020」の現状を検証してみるのジャ。
@むし歯の状況
子供のむし歯は大幅に減少しているのじゃヨ。特に低年齢児における減少傾向が著明で、乳歯(1〜15歳未満)総数および乳歯+永久歯(5〜15歳未満)の総数では、検診方法および未処置歯(処置の終わってない歯)の診断基準が改まったものの、前回調査に比べると、それぞれ約12%もう蝕有病者率(むし歯のある人の割合)が減っているのジャ。ただし、永久歯(5歳以上)の総数では、前回調査とほぼ同じ85.85%のう蝕有病者率であり、これは依然高い数値を示しているのじゃヨ。
また、むし歯の治療を完了した人の割合も前回、前々回調査に比べると確実に増加しており、治療率も上がっていることが裏付けられたのジャ。
A歯みがき回数
毎日歯をみがく人は96.2%なのじゃヨ。歯をみがく回数は、「1日1回」の人が減少し、「1日2回または3回以上」が増加し67.1%で、前回調査より5.5%増えているのジャ。
B歯肉の状況
歯肉に異常のある人は72.9%にも及んでいるのじゃゾ。年齢別では、45〜54歳で88.4%と最も多く、成人期は歯周病の急増期なのジャ。また驚くべきことに、5〜14歳でも36.5%と3人に1人は歯肉に何らかの異常がみられるのジャ!
C8020の状況と現在歯数
一人平均現在歯数は調査毎に増加しており、歯の寿命は前々回調査(12年前)と比べ5年以上も延びているのじゃヨ。ただし、50歳を境に急激に減少しており、80歳の平均現在歯数は8本なのジャ。また、20本以上歯がある人の割合も同様に50歳を境に減少し、8020達成者は15.25%(6.5人に1人)と推定されているのジャ。しかしこれは、前回調査に比べると4.4%増加しているのじゃゾ。

元気じゃけんひろしま21
厚生労働省では「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」を平成12年から10年間にわたって実施しているのじゃヨ。この「健康日本21」は、健康寿命の延伸および生活の質の向上を目的とし、そのためには生活習慣の改善により「健康を増進」し「生活習慣病を予防」することで国民一人一人の健康を実現しようという国民健康づくり運動なのジャ。
そして「元気じゃけんひろしま21」はその「健康日本21」の地方計画としても位置づけられており、9つの分科会でそれぞれの目標数値を設定し、学校・職場・家庭・地域などを通して展開されるのじゃヨ。歯科分科会での歯の健康目標とは…
※( )内は現況。
歯の喪失を防止するためには、
■「定期的に歯石除去や歯面清掃を受ける人」を30%以上(18.2%)にする。
■「定期歯科健診を受ける人」を50%以上(35.3%)にする。
幼児期のむし歯予防のためには、
■「3歳児までにフッ素塗布を受けたことのある者」を87.4%以上(80%)にする。
学童期のむし歯予防のためには、
■「学齢期におけるフッ化物配合ハミガキ剤使用者」を90%以上(33.6%)にする。
■「学齢期において過去1年間に歯みがき指導を受けたことのある者」を30%以上(21.8%)にする。
歯周病予防のためには、
■「40歳、50歳における歯間部清掃用具(デンタルフロス、歯間ブラシ)使用者」を30%以上(35〜44歳21.8%、45〜54歳23.8%)にする。
■喫煙により歯周病に罹患しやすくなると知っている人を50%以上(25.8%)にする。

ブレスローの健康習慣
1973年に米国のブレスロー博士は、さまざまな生活習慣と身体的健康度との関係について調査した結果、7つの健康習慣が身体の健康と密接に関係している事がわかったのじゃヨ。これは「ブレスローの7つの健康習慣」として広く知られているのジャ。
これら7つの健康習慣をもつ人ほど、病気にかかる割合が少なく、寿命も長いということなのじゃヨ。また、このブレスローの健康習慣を多く実践している人では、
1.歯肉の健康状態が良好な人が多く、また、歯周ポケットを有する人の割合が少なかった。
2.歯科の定期健診、食後の歯みがき、甘いものをひかえるなど、歯の健康習慣を多く実施している人が多かった。
3.一日の歯みがき回数の多い人、就寝前の歯みがきにかける時間の長い人が多かった。

という調査結果も出ているのジャ。このように、ブレスローの7つの健康習慣が歯科保健行動やお口の健康状態にも関係していることがわかったのジャ。
全身の健康を保つためにも、8020達成のためにも生活習慣(ライフスタイル)を見直し、健康習慣を実践していくことが大切なのジャ!

年代別8020のポイント
8020達成のためには、生涯を通じたお口の健康管理が大切なのじゃゾ。
私たちの生涯には、それぞれの年代に特有な歯や歯ぐきの障害になる問題が横たわっているのジャ。それらの問題を各年代で適切に解決してゆくことが、8020の達成につながり、ひいては生涯を通じて健康で豊かな生活を送ることにもつながってくるのじゃヨ。
全身的な健康の上に立った歯と歯ぐきの健全な状態をめざすためには、各年代で、どのような注意が必要なのだろうか…
胎生児期
お母さんの健康は、赤ちゃんの健康なのじゃゾ!
乳歯の中で一番早く生える乳中切歯・側切歯が妊娠7週ごろ、最も遅く生える第2乳臼歯でも
妊娠10週ころに歯の芽ができ始めるのジャ。だから妊娠がわかったころには、すでに乳歯の芽は作られ始めているのじゃヨ。お母さんは妊娠がわかってからはもちろん、普段から栄養バランスのとれた規則正しい食生活をすることが大切なのジャ。
また、
妊娠中はむし歯が多発したり、歯肉が腫れやすくなるのでお口の清掃を心掛けることが大事なのじゃヨ。この時期は、お母さんと赤ちゃんの2人3脚でがんばるのじゃゾ。
乳幼児期
お父さん、お母さんが最後に仕上げ磨きをしてあげるのじゃゾ!
乳歯は6〜7ヶ月ごろから生え始めるので、小さな歯ブラシで歯肉や粘膜を傷つけないよう注意して、歯の表面の歯垢を取ってあげるのジャ。1歳ごろになると、何でも口に入れたがる時期なので歯ブラシを握らせてその感覚に慣れさせるのジャ。3歳ごろには、20本の乳歯が生えそろうのジャ。きれいに生えそろった乳歯は永久歯の健康にも関わってくるのじゃゾ。この時期が食習慣の基礎作りなのジャ!
1日30種以上の食品を与え、1口30回を目安に、よくかんで食べる習慣をつけさせるのじゃゾ。また、おやつは食事の一部と考え、3回の食事で不足する栄養素を補う目的で、時間を決めて規則正しく与えることが大切なのジャ。
好き嫌いなくなんでもしっかり食べることと、ブクブクうがいや歯みがきの基本をマスターさせ、
最後にはお父さん、お母さんがお口の中をしっかり点検してあげるのじゃゾ。
学童期
おとなの歯が仲間入りする大切な時期なのじゃゾ!
6歳ごろになると乳歯列の後方に第1大臼歯(6歳臼歯)が生え始め、また前歯の乳歯が抜け、永久歯にかわっていくのジャ。6歳臼歯は通常永久歯の中で最も早く生え、かむ力が一番大きく、永久歯の歯並びの中心となる大切な歯なのジャが、
完全に生えきってしまうまでに2〜3ヶ月かかるのジャ。ちょっと油断するとすぐにむし歯になりやすいので、正しい歯みがき方法をかかりつけの歯科医院で教わるのジャ。
9〜11歳ごろになると、前歯と第1大臼歯の間の歯が順次生えかわっていくのジャが、この時期に顎骨の成長速度が少し遅れたり、生えかわりが早かったりすると永久歯列が乱れるのじゃヨ。11〜13歳ごろには、第2大臼歯が生えて永久歯列が完成するのジャ。
この時期は
乳歯と永久歯が混ざり合い、歯並びもそろっていないので歯ブラシの届きにくい歯が多くなるので要注意なのじゃゾ。
思春期
規則正しい生活習慣を身に付けるのじゃゾ!
この時期には
永久歯列も完成し、かみ合わせも安定してくるのジャ。親の手を離れて生活習慣も自立するのジャが、反面、不規則な生活から間食なども増え、お口の健康に対する意識が薄らぐ時期でもあるのじゃヨ。15歳前後で歯肉炎のピークを迎え、その後、19歳ごろから歯を支えている歯槽骨の破壊が徐々に進み、歯周病へと移行していくのジャ。また、他人を気にするあまり口臭に悩んだり、アゴの関節の異常を訴えるのもこの時期が一番多いのじゃヨ。勉強やクラブ活動も大事ジャが、常に自分の歯と歯ぐきのセルフチェックを怠らずに、少しでもおかしかったら早めにかかりつけの歯科医院で診てもらうのジャ。異性が気になってからでは間に合わないかも…
成年期・壮年期
我慢していても病状はどんどん悪化するのじゃゾ!
仕事に家庭にと、さぞかし
多忙なこの時期こそ8020の勝敗の分かれ目なのジャ。多くの人がこの時期に歯周病で歯を失うのじゃヨ。歯周病は、初期の段階では自覚症状がでないので気づかず、かなり進行してやっと気づいた時には手遅れになってしまうことが多いのジャ。歯を磨いたら血が出る、歯ぐきが腫れたりウミが出る、歯が浮いた感じでかみにくい、むし歯もないのに歯がしみる…等など、ちょっとした症状を我慢したり見過ごしていないカナ?
また、40歳を過ぎると
成人病(生活習慣病)をもった人が増え、歯やお口の健康に多大な影響を及ぼすのじゃヨ。
この時期あなたの歯を守るのは、定期健診ジャ!年に1〜2回はかかりつけの歯科医院で定期健診を受け、あなたにあったブラッシング法を教えてもらったり、歯石を取ってもらうのジャ。あなたのお口の中を熟知しているかかりつけ歯科医や歯科衛生士はあなたの力強いパートナーなのジャ。
老年期
おいしい食事と楽しい会話が長生きの秘訣なのじゃゾ!
老年期は、健康状態や老化の度合いに個人差があるのジャが、少しでも老化を遅らせるように、量より質の食生活が基本ジャ。
よくかむことにより、唾液もよく出て周囲の筋肉にもハリがあり若々しさを保つことができるのじゃヨ。
おいしく食べたり、楽しく会話したりすることは若さを保つ秘訣なのジャ。また、よくかむことで大脳を刺激し、ボケの予防にもつながるのじゃゾ。
残念ながら自分の歯が少ない人でも、ピッタリ合った入れ歯を入れることにより、周囲の歯や歯肉を痛めずによくかむことができるのジャ。
入れ歯は定期的にかかりつけの歯科医院で調整してもらい、清潔に管理するのジャ。