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磨き残し把握し順序よく

 1日3回、毎食後にていねいに磨く―。学校で嫌というほどいわれてきた。しかし、仕事に追われたり夜の予定があったりと、なかなか実践は難しい。毎食後に必ずという人でも「磨いたつもり」で、「磨けていない」状態になっていないだろうか。虫歯や歯周病を防ぐ、磨き方のコツを専門家に聞いた。



歯磨き
 歯を磨いていて、歯ぐきから血が出ることがある。朝食後に1回しか磨かないことがあるからか。磨き方も悪いのか。
 東京都世田谷区の飯田歯科医院(飯田泰一院長)を訪ねた。
 「歯垢がたまりやすいところを意識して磨いて」といわれた。
 虫歯や歯周病の原因となる歯垢を青く染め出す液を歯に塗ってもらった。すると歯と歯ぐきの境目や歯と歯の間が濃く染まった。特に上の正面から左よりの奥歯までは、歯の表面も目立った。右側に比べ左側が十分に磨けていなかったようだ。歯垢は細菌の集まり。軽い歯周病という。
 歯垢がべったりつくと、歯磨きだけでは落ちにくい。削りとってもらった後、この部分をよく磨くよう指導を受けた。
 一般的には、歯垢がたまりやすいのは歯と歯ぐきの間や歯と歯の間、奥歯の溝、歯の裏側などといわれる。だが、利き腕や癖によっても異なる。
 ライオン歯科衛生研究所の歯科衛生士の黒川亜紀さんは「右利きの人は左側の犬歯あたりが磨けていない場合が多い」という。



 染め出し液は薬局などで市販もされており、自分でもチェックできる。「磨き残しやすい場所を知って、磨く順番を決めておくと習慣付けにもなり、磨き残しも減る」と黒川さん。まず下の歯を右奥から左奥へ、次にその裏側を左奥から右奥へ、といった具合だ。
 模範的な磨き方は、歯ブラシの毛先を90度の角度で歯にあて、1〜2本ごとに1センチぐらいの幅で小刻みに動かす。振幅が大きいと、毛先が素通りしてしまう。
 歯の場所や歯並びに応じて歯ブラシをあてる向きを変える。歯周病の人は毛先を歯と歯ぐきの間の境にあて、歯との間が45度の角度を空けるようにすると、歯垢をとりやすくなる。
 「1カ所最低20往復磨かないと歯垢は取りきれない」と黒川さん。これだと最低3分かかるが、同研究所の人でも歯磨き時間は約1分という人がほとんどだった。
 強くこすり過ぎると毛先が倒れて歯垢が除去できず、歯ぐきも傷つく。適正な圧力は200グラム程度。料理用のはかりに歯ブラシをあて、上から押して200グラムになる感覚を覚えておくといい。
 同研究所の調査では、1日2回磨く人は半数、3回以上が44%、1回が6%。黒川さんは、毎食後磨けなくても1回は念入りにすることを薦める。
 とはいえ、洗面台で何分もというのはつらい。冒頭に飯田院長は寝る前の入浴中に、浴室に置かれたポータブルテレビを見ながら、じっくり磨くという。
 人との会食などで食後磨けない場合には、デンタルリンスと呼ばれる口腔洗浄液を利用するのも手だ。口の中の細菌の増加を防ぐ効果はある。
 小刻みな動きが不得意だったり、磨き方に癖があったりする人には電動歯ブラシがお薦め。最近人気の音波歯ブラシや超音波歯ブラシは「毛先が届かないところの歯垢の除去も期待できる」と山田了・東京歯科大学教授はいう。
 それでも歯と歯のすき間まではとりにくい。デンタルフロスと呼ばれる糸状の掃除具や歯間ブラシもうまく活用したい。



口の中をテレビ画面に
●口腔内カメラ
東急ハンズ渋谷店デンタルケア担当で歯科衛生士の塚田あけみさんによると、最近人気なのが、テレビの映像端子にコードをつなぐだけで口の中の状態をテレビ画面に映し出せる口腔内カメラ。価格は1万円以上だが、子どもの歯磨きチェックに便利という。
●歯ブラシ
同店で相談が多いのが、歯ぐきから血が出たときの歯ブラシ選び。硬めの歯ブラシを使っている人には柔らかめを薦めるが、中には柔らかすぎるものを使っている人も。逆にしっかり歯ぐきにあたらず効果も落ちるので、徐々に普通の硬さに変えるよう助言するという。歯並びが悪い人には小さめがよいと言う。
●電動歯ブラシ
音波はブラシは毎分約3万回の音波振動で、歯垢を除去するが、各社製品でブラシの動きや形状が異なる。値段も数千円から2万円台と幅がある。
超音波歯ブラシには超音波を発振するだけでブラシ部分が動かないタイプもある。


2005年5月10日の朝日新聞より