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おいくらですか?
大人の歯列矯正

 少子化も手伝い、今や矯正する人のほぼ半分は大人。ただ、費用の基準がわかりにくいうえ、美容行為とみられて保険が利かないことも多いため、ためらう人も少なくないようです。費用の一般的な水準や内訳を調べてみました。



 東京都の会社員、大和田美紀子さん(33)は、歯列矯正をはじめて年目。今は矯正装置も外れ、治療終盤の観察に入っている。
 きっかけは米国の大学への留学だった。米国で友人らの「完璧」な歯並びに感激、治療を決めた。



 「歯科矯正は費用がかかる」と聞いていたため、まず近所のかかりつけ歯科に、通いやすい専門開業医を紹介してもらった。
 初診料は無料だったが、治療方針を決めるためのレントゲン撮影など精密検査・診断(3万5千円)があり、治療方針や費用の概算を説明された。矯正装置代23万円と管理料45万円、総額68万円を2回の分割で前払いする必要があり、別に月1回の通院ごとの「処置料」5千円がかかるという。
 費用の内訳は、国立大学病院も開業医もほぼ同じ考えだ。
 相談料は初診料にあたる。治療方針を決めるための検査とそれに基づく判断に、基本検査料・診断料がいる。治療にはいると、矯正装置や、矯正後に歯並びを維持する保定装置などの費用、技術にかかる施術料、矯正中の調整料などが最低限かかる。症状や患者の希望によっては、他の検査や装置料などが上乗せされる。
 東京医科歯科大大学院の相馬邦道教授によると、歯並びの悪さの多くは「疾患ではない」と考えられてきたため、歯列矯正は、かみ合わせに先天性異常があるなど一部を除いて保険が利かず、私費扱いになる。このため治療費は高めになり、ばらつきも大きい。
 白くて目立たないセラミック製装置は金属よりやや高く、歯の裏側に装置をつける方法は表側の倍程度など、標準以外の材料や矯正方法は割高になる。目立たない利点と、費用などのかねあいをよく考えて選ぶことも必要だ。



 医療経済研究機構の00年の報告書によると、矯正の費用は平均で70万円程度。「東京や地価の高い都市中心部は高めと言われるが、地方都市では70万円台が多いという声もある。現状はおおむね75〜90万円におさまるようで、この範囲を目安にしては」と相馬教授。通院期間は平均2〜3年で、あまりにも長い場合は、他の医師の意見も聞いた方がいい、という。
 治療費の支払いは、開業医では前払いが多く、大学病院では治療の各段階で払う方式が主流だ。前払いは、費用がその段階でほぼ確定でき、大学病院方式なら転院した場合に二重払いが避けられるといった利点がある。東京・渋谷の矯正専門開業医、佐藤元彦医師は「前払い方式でも、事情があれば返金してくれるところもあるので相談を」と助言する。


2004年10月21日の朝日新聞より